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光ファイバセンサ概論(6)

基礎編<その1>(10)

基礎編<その2>(10)

基礎編<その3>(10)

基礎編<その4>(3)

設計編<その1>(10)

設計編<その2>(3)

施工保守編<その1>(10)

施工保守編<その2>(10)

施工保守編<その3>(7)

コラム(11)

基礎編<その1>

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02_光にはどのような性質がありますか<1>

反射

事務局
光ファイバセンサは、光が持つ性質をうまく利用することで、温度、歪、圧力、電流などの様々な物理量を計測したり、構造物やライフラインの状態異常を監視したりすることができます。

光には、図1に示す5項目の代表的な性質があります。これらの性質を理解することで、ほとんどの光ファイバセンサの動作原理を理解することができます。
(光ファイバセンサ用として一般的に使用されている通信用光ファイバ(ガラス製)を基本として説明します。)

図1 
図1 光の代表的な性質

1. 反 射

反射は、鏡による光の反射や、水面での反射など、普段の生活でもよく見ることのある現象です。

図2に示すように、反射は光が通る媒質が異なる境目で発生します。媒質とは光の通り道となる物質です。宇宙空間では媒質が存在しない真空となりますが、地上では空気、水中では水、光ファイバ内ではガラスが媒質となります。

地上デジタル放送波などが高層ビルの影響で反射波が生じるのはよく知られていますが、光も電磁波の特性をもっているので、水面(空気と水の境目)などで反射します。このように2種類の媒質の境目では反射という現象が生じます。

図2 
図2 光の反射

光ファイバは損失(光の強度のロス)が非常に少なく長距離大容量伝送の光通信で一般的に利用されています。光ファイバは中心の「コア」と、コアの周囲の「クラッド」と呼ばれる部分で構成されています。

コアとクラッドは、共にガラスで出来ていますが、コアとクラッドそれぞれに加える不純物とその量を変えることで、コアとクラッドとが屈折率の異なる媒質になっています。

そのため媒質が異なる境目、すなわちコアとクラッドの境目で光が反射します。図3のように光ファイバ内では、光はコアとクラッドの境目で反射を繰り返しながら、長距離伝搬していきます。

図3 
図3 光ファイバ中を反射しながら光は伝搬

光ファイバを切断すると、光ファイバ内を伝搬してきた光はガラスという媒質から空気という媒質にさらされます。このとき光ファイバの切断面では、ガラスと空気の境目で屈折率の違いにより反射が発生します。

この反射のことを「フレネル反射」と呼んでいます。2つの媒質の屈折率の差が大きく境界面にあたる光の入射角度が垂直に近いほど、光ファイバに戻る反射量も大きくなります。

電波を扱っている読者は直感的に理解しやすいと思いますが、同軸ケーブルで高周波の信号を伝送するとき、同軸ケーブルの端面でインピーダンスが整合していないと反射する現象がありますが、これと同じように考えることも出来ます。

媒質の屈折率は、高周波の世界でのインピーダンスに相当するでしょう。高周波の電気信号を反射させないようにインピーダンス整合を取るのが、光の世界では媒質の屈折率を合わせることに相当します。

光ファイバセンサにも反射を利用したセンサがいくつかあります。最も簡単なセンサでは、図4に示すような、光ファイバの端面から出射した光をミラーで反射させ、光ファイバに戻すセンサです。

検知したい事象に合わせてシャッターを閉じたり開いたりすることで、遠方から反射光の有無を検知することができます。しかし、光ファイバの光の通り道であるコアは、直径が数µm~数十µmと非常に小さいので、微小なゴミの付着で動作しなくなってしまいます。

 図4
図4 反射を利用した光ファイバセンサの例

これを防止する方法としては、図5に示すように、外部の磁石(磁界)によってシャッターのように動作するファラデー型センサがあります。このように、光ファイバの端面部分をケースで封印してゴミや油の付着を防止すれば磁石の近接による反射の有無を確実に検出することが出来ます。
 
図5
図5 ゴミや油に影響しない反射を利用した光ファイバセンサの例

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