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光ファイバセンサ概論(6)

基礎編<その1>(10)

基礎編<その2>(10)

基礎編<その3>(10)

基礎編<その4>(3)

設計編<その1>(10)

設計編<その2>(3)

施工保守編<その1>(10)

施工保守編<その2>(10)

施工保守編<その3>(7)

コラム(11)

コラム

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C02_光のモード

事務局
 マルチモード、シングルモードといった用語で用いられる「モード」とは、光が光ファイバ中を伝搬する経路による伝わり方(モード)を指します。
 図1のように、光ファイバのコアに入射した光は、コアとクラッドとの境界で反射を繰り返しながら伝搬していきます。このとき、入射角度が小さいモード(0次モード)や、入射角度が大きいモード(2次モード)等、様々な伝搬モードが発生します。入射角があまりにも大きいモードは、光ファイバの中で反射を繰り返す回数が多くなるため次第に減衰したり、一部はクラッドに出ていったりして、ついには消滅してしまいます。
 光ファイバに入射した光のうち、入射角度や光ファイバの屈曲などの条件によって、反射回数が少なく光ファイバ中を通る経路が短い光や、反射回数が多く経路が長い光が混じって光ファイバの末端(出射端)に到達します。
このとき、コアの屈折率分布が一定であれば、光ファイバ中の光速度は同じなので、モードによって末端に到達する時間が変わってしまいます。
 デジタル信号伝送では光のON/OFF状態を用いて信号を伝送しますが、入射した光信号が複数のモードによって光ファイバの末端で信号が歪む状態が発生します。
 これをモード分散と呼びます。モード分散が大きいと、情報通信では元の信号に戻せなくなるなどの不都合が生じます。

図1
図1 光ファイバ中の(伝搬)モードと信号伝搬の関係

 光ファイバの種類の中で、マルチモード光ファイバと呼ばれるものは、コア径が50 µm程度で複数のモードを伝搬する光ファイバです。上述のように、モード分散が大きいので数km程度の短距離用途で利用されています。
 マルチモード光ファイバでも、モード分散を小さくする方法があります。図2のように、コアとクラッドの屈折率差を階段状(ステップインデックス:SI)にするのではなく、コアの屈折率を緩やかに変化させる(グレーデッドインデックス:GI)ことで、モード分散を小さくしたマルチモード光ファイバを実現することができます。
 この光ファイバでは、光は緩やかに曲がって伝搬していきます。光ファイバ中の光の伝搬速度は屈折率に反比例するので、高次モードと低次モードの伝搬時間の差は短くなり、モード分散の影響を小さくすることができます。
 一方、シングルモード光ファイバと呼ばれるものは、コア径を8 µm程度と細くすることで1つのモードしか伝搬しないようにしたもので、長距離の情報通信用として利用されています。

図2
図2 グレーデッドインデックス(GI)タイプの光ファイバ

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