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光ファイバセンサ概論(6)

基礎編<その1>(10)

基礎編<その2>(10)

基礎編<その3>(10)

基礎編<その4>(3)

設計編<その1>(10)

設計編<その2>(3)

施工保守編<その1>(10)

施工保守編<その2>(10)

施工保守編<その3>(7)

コラム(11)

基礎編<その2>

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16_光ファイバセンサシステムは断線しても復旧が容易なわけ

事務局
光ファイバセンサの特長のひとつに、万一、センサと計測器間の伝送用光ファイバケーブルが作業中に誤って切れた場合や、設置後に災害や人、動物によって切られた場合に、システムの復旧が簡単に行えるということが挙げられます。

光ファイバセンサまたは伝送路となる通信用光ファイバで断線が発生した場合、断線の発生個所はOTDRを用いると容易に特定することができます。電気式センサの場合には、このような断線箇所を容易に特定することが困難であるのに対し、光ファイバでは容易であることが特長のひとつです。

図1
図1 OTDRによる光ファイバの断線位置の特定

光ファイバセンサは、原理として、入射した光に対して戻ってきた光の変化を捉えます。一度断線しても切れた光ファイバ同士を現場で接続(融着)して再び光が通るようにすればシステムは元の状態に戻り再び正常に計測が出来るようになります。

融着による接続損失は通常用いるシングルモード光ファイバの場合でおおむね0.1 dB以下であり、たとえばBOTDRのダイナミックレンジの3.5~16 dB程度に比べると融着による影響はあまり問題とはなりません。

ただし、断線の復旧箇所が多くなり、融着箇所や、光コネクタ接続箇所数が多くなると、融着接続損失では1か所当たり0.1 dB程度、光コネクタ接続では1か所当たり0.5 dB程度の接続損失が累積され、この接続損失によって、計測器で受光される光の強度が小さくなるので注意が必要です。

また、断線復旧で光ファイバ長が変化した場合、分布型計測では測定箇所の位置ずれが生じるので、初期値と整合させるための再調整が必要となる場合があるので注意して下さい。

最近では融着機も小型化しており現場での取り扱いも以前に比べて容易になって来ており、熟練すれば数分で融着が可能となっています。

なお、断線ではないのに戻り光の強度が不足している場合は、OTDRによって光ファイバ全長にわたって損失状況を見て損失が大きく発生している箇所を探して原因を判断します。

時間の経過と共に光ファイバに大きな曲げが発生していることなどがありますので、そこを修復することで正常に復元することがあります。

また、取りあえずの応急処置ではメカニカルスプライスによる接続方法もあります。メカニカルスプライスとは、融着接続機を利用せず、小型の治具を用いて、光ファイバを溝にはめ込むなどの方法で、光ファイバを機械的に突き合わせして接続する方法です。

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