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光ファイバセンサ概論(6)

基礎編<その1>(10)

基礎編<その2>(10)

基礎編<その3>(10)

基礎編<その4>(3)

設計編<その1>(10)

設計編<その2>(3)

施工保守編<その1>(10)

施工保守編<その2>(10)

施工保守編<その3>(7)

コラム(11)

基礎編<その3>

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19_ROTDRはどのように計測を行うものですか

事務局
光ファイバ中に発生する散乱光の中には、光ファイバの石英分子の格子振動とエネルギの授受を行い、その結果入射光の波長が若干シフトするものがあります。

これをラマン散乱光と言い、OTDRの原理とラマン散乱光を組み合わせて測定するものをROTDRと呼びます。

このラマン散乱光には2つの成分があります。

ひとつはガラスの分子の格子振動にエネルギを与えた光が低周波数にシフトするストークス光と、もうひとつは高周波数側へとシフトするアンチストークス光です。

特にアンチストークス光の強度は散乱を起こした位置での光ファイバの温度により大きく変化します。

したがってラマン散乱光の強度を測定することによって、光ファイバの各部の温度を知ることができます。

ラマン散乱光のうち装置側に戻る後方ラマン散乱光強度を時間軸上で処理することで、光ファイバに沿った温度分布を計測することができます。

図1
図1 温度によるラマン散乱光強度の変化

しかし、ラマン散乱光の光強度は非常に微弱で通常はノイズレベルより小さい光であるため、光パルスを217回(※1以上入射させて平均化処理を行う必要があります。

また、光パルスを入射させるインターバル(※2)は、終端で発生したラマン散乱光が装置側に戻るのを待ってから次のパルスを入射させる必要があるため、平均化の時間に数秒から数十秒かかる場合があります。

※1:装置性能や要求する温度精度により入射させるパルス回数が異なる
※2:光ファイバ中のパルス光の伝搬速度は一定であり、距離によりパルス光の入射間隔が決まる

図2
図2 ROTDR計測ブロック図

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