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光ファイバセンサ概論(6)

基礎編<その1>(10)

基礎編<その2>(10)

基礎編<その3>(10)

基礎編<その4>(3)

設計編<その1>(10)

設計編<その2>(3)

施工保守編<その1>(10)

施工保守編<その2>(10)

施工保守編<その3>(3)

コラム(11)

施工保守編<その3>

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23_適用環境に応じてどのような光ケーブルを使ったら良いですか

事務局

 光ファイバは光ファイバセンサ部と光伝送路に使用しています。光伝送部に使用している光ケーブルは適用環境に応じて種々のものが市販されています。選択する場合は、適用する場所、雰囲気や延線方法とコストを考慮する必要があります。場所分類としては、屋内用、屋外用、地中用、水中用、海底用や架空用などがあります。雰囲気については、その場所での通常雰囲気か、さらに検討すべき特有の雰囲気なのかを判断する必要があります。延線方法については、光ケーブルが延線に必要な機械的強度を有する場合は問題ありませんが、充分でない場合はテンションメンバを利用してラッシングや吊り具を適用します。テンションメンバを光ケーブル本体の外側にだるま状に設けて延線を容易にするための自己支持型のケーブルもあります。多心の光ケーブルを分岐しやすいケーブルや途中で接続がしやすいケーブルもあります(4-1-2を参照)。いずれにしても、6-1-2に示した環境特性を考慮して適切な光ケーブルを選択して下さい。
 光ファイバセンサに使用している光ファイバは、計測対象の物理化学的変状を計測するものです。したがって、伝送部に使用している光ケーブルの環境特性に対する考慮だけでなく、計測対象の物理化学的変状に連動する変化を光ファイバに生じさせる必要があります。種々の光ファイバセンサが開発されていますが、選択する際に考慮すべき点を説明します。

① 計測対象の物理化学的変状に連動する変化を光ファイバに生じさせる 光ファイバセンサの機構と計測範囲と精度を理解する。
② 光ファイバセンサは温度と歪を一本の光ファイバで同時に測定することも可能である。したがって、歪を検知する光ファイバセンサを適用する際には、温度特性や温度補正方法を確認する必要がある。

 理解を深めるために、光ファイバの構造、保護構造や物理化学的変状と連動する機構を把握する視点を説明します。そのためには光ファイバの構造をよく理解することが重要です。石英系シングルモード光ファイバを例に説明します。いかに裸ファイバが細いものかを実感してもらうために、光ファイバ素線、心線とコードについては、図中の各部分の大きさは拡大比をおおよそ一定にしてあります。コア部(中央の白表示の部分)は直径約8 µmと細く、分かり辛いので約5倍に拡大して表示してあります。光伝送用ケーブルは概略図です。
 光ファイバ素線、心線、コードや伝送用光ケーブルの典型例を説明します。

 光ファイバ素線 光ファイバ心線(単心)

  図1 光ファイバ素線    図2 光ファイバ心線(単心)

光ファイバ心線(テープ心線) 光ファイバコード

  図3 光ファイバ心線(テープ心線)   図4 光ファイバコード

光伝送用ケーブル例 
    図5 光伝送用ケーブル例

 光はコア中だけを伝搬します。光ファイバセンサでは計測対象の物理化学的変状に連動する変化をこのコア部に生じさせなければなりません。コアとクラッドは裸ファイバとして一体化して製造しています。直径125 µmという髪の毛ほどの細いものです。したがって、歪センサとして適用する場合に問題となるコアとクラッド間の滑りや温度センサとして適用する場合の熱容量の問題はありません。光ファイバ中の裸ファイバに計測対象の物理化学的変状に連動する変化を生じさせる機構を考えればよいことになります。
光ファイバの基本構造である裸ファイバは以下の性質があります。

<優れている点>
① 大気中の酸素による酸化はまったく受けない
② ほとんどの酸やアルカリに対する溶解性や合成性はない。ただし、フッ化水素には溶解する
③ 絶縁性があり、雷、電磁ノイズや短絡や漏洩電流を通さない
④ 多心のものでも細くかつ軽量

 以上のようにセンサの材料としてはほかに類を見ないほどの優れた材料ですが、以下のような脆弱な点もあります。

<脆弱な点>
① 水素を容易に吸収し伝送損失が急激に増加する
② 長い間水に曝されると、反応し伝送損失が漸次増加する
③ 引張強度は大きいが、特に側圧(圧壊)、曲げや衝撃に弱い

 光ファイバセンサの施工や環境への耐性は伝送用光ファイバのそれよりも高いものが必要になります。光ファイバセンサの施工や環境に耐えるためには脆弱な点を克服する、機械的強度を向上し雰囲気と遮断する保護構造が必要です。伝送用の光ファイバにおいては、光ファイバ素線では1次被覆が、光ファイバ心線では2次被覆、光コードでは抗張力体とシースが1つの保護構造です。これらの保護構造はすべて樹脂で構成されています。これらの樹脂はセンサとして必要な機械的強度の向上や耐熱性の向上はあまり期待できません。伝送用の光ファイバに適用されているこれらの保護構造だけでは、施工や環境に耐えられる適用範囲は限られています。
 センサ用として、光ファイバ素線の1次被覆にポリイミド(耐熱性樹脂:被覆外径は約155 µm)、光ファイバ心線の2次被覆にシリコンやテフロンなどを採用し改善したものや、光ファイバ心線を金属管で保護した構造のものもあります。温度センサや歪センサを選択する場合に見落としがちな項目を説明します。

<温度センサを選択する場合に重要な項目>
① 保護構造の熱伝導性や熱容量を確認する(計測の応答性と精度に影響)
② 計測温度範囲内で安定した保護構造であることを確認(樹脂が材料として使用されている場合は、融点や燃焼温度だけでなく熱分解ガスの発生温度と成分に留意する。水素などの発生があると伝送損失が増加する。)

<歪センサを選択する場合に重要な項目>
①  計測対象の歪変化は裸ファイバの歪変化として連動している構造かを確認
• わずか直径125 µmという裸ファイバが適切に保護され、固定される必要がある
② 計測対象と裸ファイバが保護構造を介してどのようにして一体化されているのかを確認
• 具体的には、裸ファイバ、保護構造、固定治具と計測対象との間で滑りがないようになっているかを確認)
• 昼夜や季節変化の温度変化によっても、滑りが発生する可能性がある点にも留意
③ 温度の補正はどのようにされているかを確認
• 必要とされる計測精度に影響



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