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光ファイバセンサ概論(6)

基礎編<その1>(10)

基礎編<その2>(10)

基礎編<その3>(10)

基礎編<その4>(3)

設計編<その1>(10)

設計編<その2>(3)

施工保守編<その1>(10)

施工保守編<その2>(10)

施工保守編<その3>(3)

コラム(11)

施工保守編<その3>

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22_光ファイバセンサにはどのような取付け方法がありますか

事務局

 計測対象の気体、固体および液体の変状に連動するように光センサを取り付ける必要があります。気体および液体という流体には固定ではなく曝すことになります。しかしこの場合でも、センサを支えるために、計測対象外の支持用の固体に、光センサを固定することになります。固体には地すべり変状のように流動現象を伴っている場合もありますが、なるべく流動と一体となって光センサが連動するように固定するものとして取り扱って下さい。固体の種類としては、金属、樹脂、セラミック(代表的な例としてコンクリ-ト)、木材を対象とします。この項では固体に光センサを固定する手段と留意点について説明します。

1.固定する手段
 センサを固定する手段としては
   ① 接着剤
   ② 溶接およびロウ付け
   ③ 埋め込み
   ④ 機械的な固定
などがあります。以下にそれぞれの方法について説明します。

1.1 接着剤を適用する場合
 固体とセンサを接着剤にて固定する場合は、固体とセンサの表面材質により化学的反応性を考慮して適用する接着剤を選定します。固体とセンサの表面に異物が付着している場合はクリ-ニングする必要があります。特に、油や埃は除去しなければなりません。接着作業性を勘案する必要がある場合は、樹脂の硬化開始時間と終了時間を検討する必要があります。硬化終了時間までは、機械的固定などの別の手段で仮固定しなければなりません。コンクリ-トや木材のような多孔質固体の表面固定の際は、液体が浸透してしまうことを考慮しなければなりません。固定後も雨水などの浸透を受けることになり、水に弱い接着剤がコンクリ-トや木材の内部側から劣化を受けることがあります。有機系高分子からなる接着剤は、水分、太陽光、温度変化や油などによる劣化を受けやすいので、屋外などの適用環境を考慮した接着剤の保護構造を適用した方が良いです。接着剤付きのテ-プで固定することも可能ですが、接着材はテ-プに薄く塗布してあるだけですから固定力は小さいことに注意して下さい。テ-プの材質によっては撥水性、耐摩耗性や耐腐食性を改善することが可能です。したがって、保護材として利用することは可能です。

1.2 溶接とろう付け
 固体が金属の場合は溶加材の有無にかかわらず、固体と光ファイバを直接に溶接することはできません。光ファイバを金属管などで保護してセンサ化した場合や固定治具を利用する場合は可能です。固体が樹脂の場合は光ファイバの被覆樹脂との間では可能ですが、溶融温度以上が必要となり熱膨張・収縮が大きく管理しにくいことと、空気中の酸素との反応も考慮しなければなりません。したがって、一般的には、接着剤による固定を採用しています。いずれにしても、固体、保護構造物や固定治具を溶融しますので固定力は期待できるものの、高温による材質変化に留意する必要があります。材質変化は機械的強度や耐腐食性の劣化をもたらす場合があります。ロウ付け(はんだや銀ロウなど)の場合は、固体、保護構造物や固定治具が溶融する高温ではありませんので適用できますが、固定力に留意する必要があります。
 コンクリ-トや木材に関しては溶接もしくはロウ付けは適用できません。

1.3 埋め込み
 固体が工業製品である金属、樹脂やコンクリ-トの場合は、製造工程で適用することは可能ですが、金属は高温での加工工程があることからかなり困難です。樹脂やコンクリ-トの場合は充分に可能です。ただし、加工工程での歩留まりに影響する要因の解析をして、安定した埋め込みができることが前提条件となります。また、うまくできたとしても、固体の変状が大きくセンサの測定範囲を超えてしまいセンサが破壊されてしまう場合は、固体の修復を含めセンサの修復をすることになります。木材の場合は事前に埋め込むことは不可能です。
 事後に埋め込みを実施する場合、埋め込み用の空間を固体に設けることになります。この空間にセンサと埋め込み材を充填することになります。空間の設定による断面積減少や埋め込み材の特性による著しい機械的強度の変化(劣化や強度向上)や熱伝導特性の変化は本来の計測対象の変状と連動しないことになります。空間の大きさや埋め込み材の特性を適切に選定する必要があります。屋外で適用する場合は雨水などの侵入を防止することに留意して下さい。センサの温度特性や耐腐食性に影響を与えることになります。
 
1.4 機械的固定
 固体とセンサの間に特製治具を設けて固定します。基本的にはセンサの側方から押圧力を加えて固体もしくは特製治具間に挟み込むことになります。押圧力の機械的発生にはスプリング、クランプやネジ締結方法があります。振動、温度変化や腐食進行による緩みに気を付ける必要があります。特に、歪測定の際に圧縮も測定する場合は、歪センサに張力を付与する必要があることから、その分スリップが起きやすくなるので注意が必要です。特製治具の設計においては、押圧力の大きさ、押圧長さ、接触の在り方を検討し、なるべく摩擦力が大きい状態を維持することが重要です。

1.5 スチ-ルバンド
 角のない円柱状の固体の表面にセンサもしくは特製治具を固定する手段としてスチ-ルバンドを利用する方法があります。温度上昇による緩み発生に気を付けて下さい。

2.留意点
 測定目的を達成するためには、OTDR、ROTDRやBOTDRの線状分布測定で使用する光源のパルス幅に起因する空間分解能を検討する必要があります。一般的には、測定値は空間分解能間の平均値を採用しています。測定器メーカーによって測定値の算出の方法を工夫している場合もありますので、必ず確認して下さい。いずれにしても、計測目的に適した固定形式を選択することになります。
 OTDRやBOTDRで測定対象の歪変状を測定する場合は、計測対象とセンサの固定形式には全線固定と間欠固定形式があります。光ファイバの引張特性は約3%までは弾性変形し約6%では破断します。

 全線固定と間欠固定
        図1 全線固定と間欠固定

 全線固定形式の場合、空間分解能以下の局所において、光ファイバの引張特性を越える変状が生じた場合は、繰り返し測定に問題が生じ測定が出来ないことになります。測定値として空間分解能間の平均値を採用している場合はこの大きな変状を測定できませんので、突然測定が出来なくなることになります。
 空間分解能を超える毎の固定である間欠固定形式の場合は、局所的な大きな変状を空間分解能内で平均的な変状として吸収しますので測定可能範囲が拡大することになります。測定値として空間分解能間の平均値を採用している場合は、固定形式の違いによる測定値の精度は変わりません。どちらの固定形式を選択するかは、測定目的(特に測定可能範囲に関し)とコストを検討し選択する必要があります。

 ROTDRやBOTDRで空間分解能より小さい空間での温度を測定する場合は、その範囲にセンサを少なくとも空間分解能を越える長さを貯線してプロ-ブ化し、プロ-ブを曝すことになります。もちろんプロ-ブは支持構造に固定する必要があります。



 

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