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光ファイバセンサ概論(6)

基礎編<その1>(10)

基礎編<その2>(10)

基礎編<その3>(10)

基礎編<その4>(3)

設計編<その1>(10)

設計編<その2>(3)

施工保守編<その1>(10)

施工保守編<その2>(10)

施工保守編<その3>(3)

コラム(11)

施工保守編<その1>

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07_力学的反応性について考慮すべき事項

事務局

 力学的反応については「伸縮荷重」、「摩擦」、「圧力」そして「振動」に分類します。
 力学的反応は物理的反応の1つです。光ファイバセンサシステムは光ファイバという線状体を使用しますので、布設作業があり、線状体として環境に曝されます。この点を考慮して、力学的反応性を物理的反応性と分けて説明します。

1.伸縮荷重
 伸縮現象を検討するためには、どのような状態で力学的反応が生じるかを考慮する必要があります。延線時、固定作業時、使用時に分けて説明します。
1.1 延線時
 延線は方向(水平、斜行、鉛直)と状態(直線、曲線)、方式(架空、ラック、トラフ、保護管など)によって分類します。光ファイバはドラムに巻装されているのが一般的です。巻き癖が延線作業を阻害する場合は、巻き癖の矯正をする必要があります。

  6-1-2-2 図1

               図1 延線作業時の概念


 布設ル-トに光ファイバを設置する延線作業時には、光ファイバを引き出し、移動させるための力、すなわち延線張力が必要です。必要な延線張力を計算する場合は、光ファイバの自重、光ファイバと接触する部分の摩擦係数を知る必要があります。方向が水平、直線状態で、方式がラック設置である最も簡単な場合は、シース部分が樹脂の場合の摩擦係数は0.3、金属の場合は0.1でおおむね問題ありません。光ファイバのシースが樹脂で自重が300 g/mで直線距離が100 mの場合、延線張力は90 Nとなります。斜行の場合は、引き上げる場合と引き下ろす場合があります。引き下ろす場合、自重は延線する力の一部として働き、斜面の摩擦力も減り、水平延線よりも小さな延線張力で済みます。引き上げる場合、自重は延線張力を大きくしますが、斜面の摩擦力は減ります。鉛直の場合は、摩擦力を考慮する必要はありませんが、自重がそのまま延線張力となります。引き下ろすにつれて、光ファイバの上部に延線張力が増えていきます。引き上げる場合はその逆です。
 斜行や鉛直の場合、光ファイバの先端側に張力を付与する手段として、錘を利用する場合があります。光ファイバがドラムに巻装されているときに生じている巻き癖により、鉛直方向の保護管などに通管することができなくなる場合には有効な手段です。
 曲管に通す際には、光ファイバが直線状態に戻ろうとする反発力が働き、外周部の接触部分に押圧力が生じ、摩擦係数が大きくなると共に延線張力が増大します。いったん必要な延線張力を越えると、曲管の内周側に移動し少し動くことになりますが、つぎに、曲管の内周側に接触し、延線張力による押圧力が生じることになります。延線張力が大きいほど押圧力は大きくなります。曲管がループ化している場合は、光ファイバが曲管の内周壁面に巻き締められて固着状態になり、通管することができなくなります。この事故を避けるためには、光ファイバを送り込みながら、引き出すというやり方が必要になります。
 架空方式の場合は、架柱間に光ファイバの自重による弛み(弛度)が生じます。この弛みが大きいと交通の邪魔になったり、他の構造物や木に接触したりすることになります。これを防止するために、架空部分に張力(架空張力)を付与し弛度を小さくすることがあります。片側の架柱上部にある回転ローラ(金車)を通して、反対側の架柱まで光ファイバを延線し、金車に通します。その後、片側の架柱に光ファイバを固定し、架空張力を付与し、反対側の架柱に光ファイバを固定します。架空張力を検討する際には、延線時の延線張力だけでなく、積雪地帯で積雪などにより重さが増える(積雪荷重)、風による荷重(風荷重)や温度変化による熱膨張・収縮も考慮する必要があります。一般的には、荷重を光ファイバ本体に負担させることを避けるため、テンションメンバが分離可能なケーブル構造(自己支持型)を採用したり、あらかじめテンションメンバを布設して、それに光ファイバを吊したり(サスペンド)、抱かせたりする(ラッシング)布設方法が取られます。
 
  6-1-2-2 図2

      図2 光ファイバの布設方法例(ラッシング方式)

 いずれにしても、布設ルートに沿って延線する際に生じる延線張力を計算するためには、延線内容(方向、状態、方式)を考慮する必要があります。各箇所で必要とされる延線張力を計算し、光ファイバケーブルの許容張力(0.2%の伸び荷重)を考慮して、連線状態で一挙に延線できる範囲を決定します。許容張力を越える場合は布設ル-トの途中に、中継ボックスや貯線部を設ける必要があります。
1.2 固定作業時
 光ファイバの延線が終了すると、固定が開始されます。ただ単に静置しているだけでは、風、振動や地震などの外力で移動し、落下したり所定の許容曲げ径(これ以上小さな曲げになると、伝送損失が増加したり、折損する)以下になる場合があります。したがって必ず固定作業が必要です。以下の2点を考慮して固定して下さい。
(1)曲がり部はその形状を維持するように、曲がり部の近傍で固定して下さ  い。
(2)光ファイバの両端を固定する場合、振動力や地震力が光ファイバの長手方向に直接に働かないように、少し弛ませて下さい。
1.3 使用時
 ロボットのような移動体に光ファイバの一端を固定し、他端が移動しない支持具に固定して使用する場合があります。光ファイバはケ-ブルベアなどの伸縮可能な保護構造に内包します。この場合では以下の3点を考慮して下さい。
(1) 繰り返し曲げ応力が発生しますので、その特性を把握して下さい。
(2) 両端固定部に応力集中が発生する可能性がありますので、留意して下さい。
(3) 疲労現象が生じ機械的強度が劣化することがありますので、留意して下さい。
 
2.摩擦
 摩擦現象を利用して、光ファイバセンサは測定対象に固定しています。歪を測定する光ファイバセンサの裸ファイバと計測対象が連動しなければ、歪は計れません。裸ファイバとその被覆、シース、保護構造や固定治具間の滑りがないようにする必要があります。温度が高いと緩む場合がありますので留意して下さい。

3.圧力
 光ファイバは局部的な側圧(圧壊(あっかい)強度)には脆弱です。圧壊に対してはそれなりの保護構造を採用する必要があります。

4.振動
 機械的な振動がある場合、固定手段に工夫が必要です。ボルト・ナットなどのネジ構造を採用している場合は、皿バネなどを使用して緩まないようにする必要があります。光ファイバの場合、シースと内部構造がずれて、内部構造が突き出してくる場合がありますので、両端で接着剤やスチールバンドなどでシースと内部構造を一体化して固定して下さい。

  6-1-2-2 図3
 
 図3 機械的な振動時への対策が施された光ファイバコード内部構造例


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