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光ファイバセンサ概論(6)

基礎編<その1>(10)

基礎編<その2>(10)

基礎編<その3>(10)

基礎編<その4>(3)

設計編<その1>(10)

設計編<その2>(3)

施工保守編<その1>(10)

施工保守編<その2>(10)

施工保守編<その3>(7)

コラム(11)

施工保守編<その1>

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02_光ファイバセンサシステムの施工で注意する点<2>

事務局
  最初に光ファイバセンサシステムの目的を明確に把握することが重要です。計測対象の物理・化学的変化をどのレベルの精度、応答性で検出し、情報としてどのような出力内容が必要とされるのかを確認し、より的確な施工をする必要があります。それによって伝送用光ファイバの布設ルートや保護構造の要否を検討します。また維持・保守のやり方やセンサを計測対象へ固定する方法などを考慮します。
  光ファイバセンサシステムが従来の電気計測と大きく違うのは、センサと計測器間で光を利用しているということです。したがって、従来の電気式計測における電気配線のように絶縁や電磁ノイズによる外乱の心配はありませんが、逆に光ファイバに特有の注意点があります。最も気をつけなければならないのは、光の損失です。これはセンサ内、伝送路内、接続箇所などで発生します。計測器に必要な強度の光がはいってこなければ、光の解析が出来なくなるので、施工前にルート内で発生する損失の計算をして余裕のある設計をしておくことが重要です。
  光損失の量は使用する部材によって違うので、メーカーの仕様書などであらかじめ確認しておく必要があります。特に注意が必要なのは光ファイバの曲げによる損失です。最近の光ファイバは曲げ損失に対する性能が優れており従来のように大きな曲げ径を取る必要はありません。光ファイバは心線状態ではおおむね半径3~5 cmに曲げてもほとんど損失は起きませんが、布設ルートにおいて急角度の曲げ部があると光が届かなくなったり、あるいは戻ってこなくなったりして計測が不能となるので、光ファイバケーブルの布設や接続では曲げの部分が光ファイバケーブルの許容曲げ半径よりも小さくならないように注意して下さい。
  既設の配管に光ファイバを布設する場合には、急な角度で曲げた保護管の中に後から光ファイバを無理に引き込むような布設を行うと光ファイバに損傷が生じやすいので注意が必要です。延線中はなるべく曲げの少ない状態で行い、延線終了後、固定する時に曲がり部を設ける方がより安全です。そのほか張力や側圧による光ファイバの損傷などを考慮する必要があります。
  線状体である光ファイバケーブル、光コード、光センサなどの許容曲げ半径、許容張力、引張強度や許容側圧を考慮して布設することは言うまでもありません。
  また、不慮の事故で光ファイバが断線した際の融着接続による復旧のことを考えて、光ファイバにはあらかじめ余長を持たせておくのがよいでしょう。 
  光ファイバを布設したりセンサを設置したりする際、各場所により環境特性は異なりますので、それによって使用する部材の環境特性を考慮する必要があります。
  屋外や特殊環境下で使用される部材に関しては、温度変化、腐食性ガス、水分、砂塵、粉塵、鳥虫害、咬害、電気化学的反応や放射線障害に対する耐久性を慎重に検討しておく必要があります。

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